12.06.2009

愛するということ エーリッヒ・フロム

「成熟した愛は、自分の全体性と個性を保ったままでの結合
 である。愛は人間の中にある能動的な力である。人をほか
 の人々から隔てている壁をぶち破る力であり、人と人を結び
 つける力である。愛によって、人は孤独感・孤立感を克服す
 るが、依然として自分自身のままであり、自分の全体性を
 失わない。愛においては二人が一人になり、しかも二人で
 あり続けるというパラドクスが起きる」

美しい!
この世界観・・・美しすぎます!

エーリッヒ・フロム
「愛するということ」



本って生き物ですね。
今このタイミングで出会えたことに
とても不思議な縁を感じます。
自分の内側に落とし込もうと、
立て続けに二回読みました。

まるで僕の喉の渇きを潤すかのように、
すーっと溶け込んで、細胞の隅々に行きわたりました。

今自分が本当に望んでいること。
それが
「でしょ?」
とばかりにやって来るのです。

1956年に出版されたこの本は、
今読んでも全然色あせていない。
むしろ予見した世界像が今、現実となっているのです。

「愛とは、愛する者の生命と成長を積極的に気にかけること
 である。この積極的な配慮のないところに愛はない」

「愛とは、特定の人間に対する関係ではない。愛の一つの対
 象に対してではなく、世界全体に対して人がどう関わるかを
 決定する態度、性格の方向性のことである。もし一人の他人
 だけしか愛さず、他の同胞に無関係だとしたら、それは愛で
 はなく、共生的愛着、あるいは自己中心主義が拡大された 
 ものにすぎない」

これはマザーテレサの言葉、
「愛の対義語は憎しみではありません。無関心です」
と近いですね。

とにかく愛を能動的な関わりと説いています。

人間が言葉や文明を発展させ、
自然からますます切り離されていった結果、
どうやって人間的な新しいカタチの調和を発見するか?

自然を我が物にしようと非人間的になり、
まるでロボットのように生きるか、
それとも人間的に精神を生きるか・・・

エーリッヒ・フロムは50年以上も前に、
こんな危機感を抱き、
後者を実現するならば愛を学び、
愛を行動するしかないと説きます。

まさに今の時代に足りないもの、
人が本当に飢えているものは・・・

一読あれ!

人気ブログランキングへ

3 件のコメント:

美夏 さんのコメント...

美夏です。
さっきマイコさんにマッサージを受けたばかりで、神の国を見てきました。嬉しくてblogを読んでいたら、フロムの本の話題が出ていたので、コメントさせて頂ければ、と思ったんです。
友人に勧められて今年の初めに2ヶ月かけて読みました。私には抵抗が随分あったんです。特に、孤独でいる時に愛を実行できるか、という項目。夜、ひとりきりになった時、本を読まず、お酒も飲まず、勿論誰かに連絡を取ることもせずにひとりを楽しめるのが愛する条件だ、という部分。

お酒をやめ、ひとりでいることが楽しめるように最近やっとなってきて、かみ締めている毎日です。愛は自立した大人のもの?
奪うべく努力をするのではなく、与えようと努力するのでもなく。
表現していくだけなんじゃないかと思う今日この頃です。

美夏 さんのコメント...

あ、後半の部分、主語が全部抜けてました。
かみ締めているのはひとりの時間のこと。愛を祈り、求めること。働くことなどについてです。

kazoo さんのコメント...

美夏さん
 ご無沙汰しています。お元気そうですね。
フロム読んでましたか~、確かにフロム的には愛することは孤独の作業なのかも知れません。

人間が言葉や文明を発展させ、自然からますます切り離されて、孤独になった結果、どうやって人間的な新しいカタチの調和を発見するか?

フロムの希望の革命を読んだのですが、フロムのおよそ訴えたいことは、ここにあると思います。

その調和を能動的に愛を持って行動に移していかないと、そろそろやばいんじゃないの?と。

そんなに人間は孤独ではないと思いますが(考え方を変えるというほんの少しのスイッチで孤独は消えると思っています)
僕もそろそろその新しい調和を目指していきます!