“本日水曜日は定休日となります”
「なに~!!」
玄、リュウジ、私たち三人は
骨が抜かれたように一気に力が抜けました。
そこは神秘の島、屋久島。
日本一周も後半をだいぶ過ぎ、
体力と、お金が底をつきそうでした。
突然の雨に降られ、ずぶ濡れになった私達は
夏なのに寒さを感じ、
なけなしのお金で温泉に入ることを決めます。
地図に載っていた海沿いにある温泉を目指し、
ようやく辿り着いたらお休み…
番頭さんは通いなのでしょうか、誰もいません。
すると、いきなり玄が建物のかどに立ち、誰も見ていないのに、
どこかで見た泥棒コントのように
「こっち来い、こっち来い」
と手招きしたのです。
この男の瞬間的な豹変ぶり、
芸術的としか言いようがありません。
こちらもすぐにそのモードに合わせ、
前かがみでサササッと近づき、
右見て左見て、
素早く建物の後ろ(海に面した側)まで駆け寄りました。
三人は低い姿勢で顔を見合わせました。
笑いをかみ殺して、一斉に「ウン」と頷きます。
そして玄が一つの窓をそーっと開けてみたのです。
まさかとは思っていました。
しかしその窓に抵抗はなく、
「カラカラカラ~」
と簡単に開いたのでした。
つづく
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