10.26.2007

ロマニスト 玄 10

「いや、おめら~にはわかんね~んだよ。入ってね~んだ。」

腰痛は専売特許と一歩も引きません。

玄に痛みの災難は続きます。
阿波踊りを見ようと徳島に入った当日、
急激な歯の痛みに襲われました。

長期間育てていたらしく、
その痛みとの激闘ぶりは、見ているこちらも苦痛でした。

正露丸を詰めてみたり、

根治水を塗ったりしましたが一向に効かない。
玄は右手で頬を押さえ、鬼の形相と化していきました。

「歯の痛みは、この腰が入ってないことからだ。全ての原因は腰だ。」

痛みで宇宙空間へでも行ったのか。

阿波では祭りの匂いがぷんぷんして、
人々の高揚が感じられました。

私達は玄にこのままだと祭りを楽しむことができなくなるので、
歯医者に行くように勧めます。

所持金は底が見えてきましたが、
それどころではないでしょう。

強く説得すると、玄はガバッと立ち上がり、街中へ消えていきました。

一時間後、右手で頬を押さえているものの、
幾分さっぱりとした顔の玄が戻ってきました。

詰め物でもしてもらったのでしょうか。

「いや~、やっぱり腰だったぜ。

マッサージしてもらったら、痛み飛んだ。」

腰?マッサージ?

なけなしの金でどこ行ってるんだ!

私達は返す言葉が見当りませんでした。

                    つづく


*玄は来月11月5日に旅立ちます。
 そんなロマンに多大なお金をベットした彼に、
 カンパを募りたいと思います。
 間接参加で楽しみましょう!
  

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