ヴィジョンクエスト
ネイティヴアメリカンの成人式(儀式)。
北山耕平氏の本によると、
まずは自分の五感を刺激した山を探し出します。
山中に分け入り、全身全霊で
“何か”
を感じる特別な場所を選び、四日間断食するのです。
そこで自分のビジョン、洞察、人生の意味を自問。
恐怖感、寂しさ、空腹感からの幻覚に襲われます。
それらを耐え忍ぶと、本来人間が持っている
研ぎ澄まされた感覚を得られて、
聖なるものへ近づくことができるといいます。
自己が確立し、大人の自分がスタートするというものでした。
27歳のころ。
何とかして目に見えぬ力に近づきたい私にとって、
うってつけの儀式でした。大人にもなれるというし・・・
すぐに実践しました。思考=行動型ですね。
本州をバイクで周り、自分の山を探しました。
そして兵庫のどこかの山の奥深く・・・
私は儀式を決行しました。
しかし、4日経ったのですが何も見えず。
さらに3日延長しました。
何も見えず。
ただ、ただ、
テントの中で力なく横たわっていたのを覚えています。
「おれ何やってんだろ?」
自問が何度も頭をかすめていました。
結局失敗して下山するのですが、それもそのはず。
実は自分がこの山だ!と決めた山で儀式をしていなかった。
バイクでの本州一周は兵庫で力、金が尽き、
大事な儀式を済ませるには近場で決行するしかないと
強引に主旨を変えてしまったのです。
こんな妥協ができる私・・・
きちんと本に書いてあった通りやっていない。
見えるはずがないじゃないですか~。
その頃、何となくつかんでいた私のスピリチュアリティは
脆く、そして儚く、
私の妥協や、不真面目さによって
崩壊の危機に来ていました。
心理的危機・・・
ジョセフ・キャンベルは
神話の力の中でこのように言っています。
「心理的にダメになった人間は、
神秘体験者が泳いでいる水の中でおぼれてしまうのです」
まさに水の中でもがき、
手だけが出て藁をもつかもうとしていたその時!
「バン!」
私の身体は5メートルほど先まで宙に浮いたのです。
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