3.26.2009

アメリカの栄光と虚像

現在のアメリカには二つの大きなベクトルが働いています。

オバマ大統領に代表される、
新しい可能性を求めるベクトル。

世界一の富と繁栄を誇る、
栄光のアメリカという根強いベクトル。

後者について。

この栄光のアメリカというベクトルは、
人がその人自身の性格を客観視するのが難しいように、
アメリカ人自身ではなかなか知ることはできないでしょう。
しかし日本から眺めると面白いことが見えてきます。

今、アメリカで起きている問題。
その事象の一つ一つをふるいにかけ、濾して、
エッセンスを抽出すると、
実は同じキーワードが現れてくるのです。

「巨大・パワー」

例えばWBC

日本、韓国が決勝に残ったのは奇跡ではなく、
純粋に実力だったと思いました。

アメリカは主力選手が出場していなかったと言いますが、
果たして出ていても勝てたのかどうかは疑問です。
これを衰退と呼ぶかどうかは別として、
なぜベースボール発祥地アメリカが、
東アジアに追いつかれ、
そして抜かれるようなことになってしまったのか?

それは、特にここ近年のベースボールを眺めれば一目瞭然。

ピッチャーは100マイルの剛速球を投げ、
バッターは大きなホームランを打つ。
この単純な図式に誰もが踊った。

1998年のマクガイアとソーサの本塁打争いは
まだ記憶に新しいはず。
そのマクガイア、実はドーピングで体を造っていたことが
確実視されている・・・

「巨大・パワー」

実態より大きく、力をつけることにより
見た目には華々しくなったけれど、
虚像が故、全てが大味になってしまった。

物事って、シンプルで機動性がある方が
総合的には優っていることが多いじゃないですか。

日本や韓国の野球は、確かに投手の質もありますが、
機動的で全体性があるんですね。
一つ一つのパワーはあまりありませんが、
パワーのすきを突くことは難しくない。

ここにベースボールの行き詰まりが見えてきます。

車産業も同じ構図が透けて見えます。

昔のアメ車、シボレー・インパラ、マスタングなどから
連想されるものは「デカイ」。
でかくして鉄たくさん使ったから、
エンジンの排気量上げようという発想。
この図式はベースボールと同じく「巨大・パワー」。

この発想から抜け出せずにずるずるここまで来てしまった。

すでに日本車をはじめとした車産業は
実用性、機動性、環境性など、
シンプルで時代に合った製品をつくっているので、
アメリカは置いていかれています。
確かに人間も巨大になっているので、
小さい車が合うかどうかは分かりませんが・・・

最後に、今、最も紙面をにぎわしている金融。

デリバティブの罠。

何が起こっているか簡単に言いますと、
少ない掛け金で実態以上の商品を売買できるシステムが、
欲で膨らみ過ぎて、破裂したということです。

レバレッジ(てこ)というのですが、
1の掛け金で約50倍の売買ができるのですよ!

ここにも
「巨大・パワー」が透けて見える。

実態より市場を大きく見せ、
力の源泉である金をガンガンつぎ込む・・・
虚像故、中身が空っぽだった。
レバレッジは数字となり残り、
数字は国民のつけとなった。

「巨大・パワー」
そろそろ、贅肉を落として軽くしないと、
新しい可能性の足を引っ張るだけになってしまうのでは・・・

WBCを観て、そんな感想をしたのでした。

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