6.07.2009

お宅訪問から思うこと。

本日は田中マイコが書きます。

先日、友人の実家が家の建替えをしたと聞き、
半ば強引にお宅訪問に行きました。

私が以前勤めていた住宅メーカーで建てたお家とのこと。
いろんな興味と感慨を持って、小雨降る中伺いました。
都会の住宅街の中、限られた敷地に建つ
薄いピンク色の三階建てのお家でした。

家を建てるという仕事。
私は営業でだったので、建てるというよりは、
注文住宅を建てる契約を取り付ける。
契約後のスケジュールやプランの管理をする。
ということが主な仕事でしょうか。
まとめるとそんな内容ですが、かなりハードな仕事でした。

一生の買い物と言われる住宅。
当然ですが、お客様は真剣そのもの。
激しい夫婦喧嘩を目の当たりにしたり、
怒られたことも、泣かれたこともあります。
でも、決して自分の家ではないのですが、
契約した方の家が無事できあがったとき
言い知れぬ感動と達成感があります。
お客様と共に喜べる、素敵な時間が最後には待っています。

昔の思いをよみがえらせながら
最近の仕様と狭小地ならではの工夫を探索している私に
友人のお母様がおっしゃったこと。
「狭い敷地だから、間取りはこれ以上どうしようもないけど
 営業の人のアドバイスが全然なかったから残念。
 もっとこうしたかったという部分はいっぱいある」

耳が痛かったです。
私も、きっと当時のお客様にそう思わせていただろうと。

20代前半の知識も経験もない自分が
何千万円とする住宅の契約をしていたということ自体、
メーカーの信頼性や上司達のサポートで成り立っていたこと。
お客様とは仲良くさせてもらっていましたが
頼れる存在では全然なかったはず。

でも、もっと余裕があれば、家の詳細を詰めていく際に
未熟なりにも「お客様の立場になって」
いろんなことを一緒に考えられたのだろうな、と思い返します。

注文住宅なので、いーーーーっぱい決めることがあります。
収納の寸法、コンセントの位置、各部屋の床壁の色etc・・・
でも一方で納期があります。猛スピードで
伺って、決めてもらって、確認して、再度確認して、では申請。
この繰り返し。
お客様だって、たいして記憶に残らないまま
決めてしまっているも事項もたくさんあるでしょう。
時間的にも精神的にも余裕がないから、
イレギュラーなお客様の要望は、なるべく制して事を運ぶ。

この繰り返しに自分自身がついていけずに
私は住宅営業を辞め、セラピストになりました。

全然違う仕事だと言われますが、
住宅も身体も「一生もの」
住宅は状況によっては数度買い(借り)替えますが
身体とはまさに一生のお付き合いです。
そのサポートをする、深い関わりをクライアントとしていくこと。
この意味で、私が今この職業を選んでいることは、
自分の意図した同じラインに乗っている、と思っています。

住宅営業のときは
「お客様の立場に」心底なることができなかったから、
今は、できる限りそうしたいです。
メーカーの冠や住宅の性能にあたるのが自分の技術。
そしてほとんど自分の責任で相対する環境。
より、人 対 人
で、お付き合いができる現在に対して
気が引き締まるし、とても感謝しています。

一方で、住宅営業をしていた3年間が
私を相当鍛えてくれたから、今の自分があるのだと感じます。

もっともっと勉強して
お客様のこころと身体の変化に応えられるようにならないと。
そして今ならゆっくりと向き合える。一緒に考えられる。

お宅訪問から、また決意を新たにした一日でした。

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2 件のコメント:

mika さんのコメント...

マイコさん、あなたは立派なセラピストだと思います。ですからきっと素敵な親身になってくださる営業さんだったのではないでしょうか?出会った方がみんな明るい顔に変わるようなセラピストの姿しか見ていないのですが、そのようなお気持ちがおありだったとのこと、つくづくその手にお任せするのが嬉しくてなりません。

私はつい最近になり、ようやく「相手の立場に立つ」ということと向き合うようになりました。見ることとは大分違う、心身を削る作業ですね。

その愛に満ちた苦しみの尊さにずっと留まれますように。

mai さんのコメント...

mikaさん、コメントありがとうございます。
そんなふうに言ってもらうと恐縮です。気持ちと実状のギャップもありますが、よりシンプルな形で向き合えることで、お互いのことをよく感じられるようになるのかもしれません。
私は、見ることの延長上に想像することがあるように思いますが、自分をひらくことでそれに達する場合は、時に大変な作業になるかもしれません。
相手の立場に、且つ、自分を大切に。