8.17.2009

内観療法 3

部屋の隅に屏風を立てて、四方を囲みます。
(だいたい1.2メートル四方)
そこに座布団を敷いて座ります。

何だろう、この感覚・・・

何か悪いことをして幽閉させられた気分。
少し落ち着かない。
目の前に屏風。
上を見れば天井の木目。

それ以外に見えるものは一切ない。

1日15時間そんな状態。
しかも、それを6日間やり続ける!

これだけで何かが起こる気配・・・

さて、幽閉されたところで内観は始まります。

グイッと内側に入っていきます。
内側と言っても、いきなり瞑想をするわけではなく、
ただひたすら過去を思い出す作業。

主に母親に対して

1、世話になったこと
2、して返したこと
3、迷惑をかけたこと

この3項目を
例えば幼稚園の時、小学校1年生から3年生まで~
と短い年代に区切って、
ただ、屏風の中で思い出すだけなのです。

2時間くらいすると、
面接者が来て、その思い出したことを言うんですね。
いわゆる告白のようなものです。
それを永遠と繰り返します。

この3項目、
見ていただければわかると思いますが、
2番目の「して返したこと」なんて、
よっぽど若いころからできた人でなければ、
そんなに多くないはずなのです。
必然、迷惑をかけたことが多くなってきます。

そんな過去の記憶、忘れてるよ。
初めはそう思っていました。

しかし、出るわ出るわ。

まるで脳内の引出しに
後生大事にしまっていたかのよう。

そう、ここが内観の大切なところなのかもしれない。

過去、自分が人や何かに対して迷惑をかけたこと。
誰かに怒られれば明確に覚えていることが多い。
しかし、うまく立ち回って咎められなかったり、
迷惑を被ったのにその人が消却してくれたりすると、
そんなことは忘れてしまう・・・

意識の表層では確かに忘れていました。

しかし、期間を細かく区切って内観していると、
そんな過去の記憶がよみがえってくるのです。

自分ではその時、悪いと感じていた。
だからたとえその状況から逃れたとしても、
記憶の隅にはしっかりと残っている。

まるで、
いつか清算しろよ!
と遠くでいつまでも叫んでいるかのよう。

これを引出しから取り出し、面接者に伝えていく。

過去の自分の悪行・・・
これを掘り下げることは自分で自分を鞭打つようなもの。
それはとても辛い作業でした。

「なんて、ダメなやつなんだ!
 だから脚がこうなってしまった」

薄暗い中、
目の前の屏風に向かい、
他人の気持ちをないがしろにした自分の過去を
ひたすら見つめ、
どうにかしたい気持ちで充ち溢れ、
もどかしく、
悩ましく、
発狂したく、
頭をかきむしり、

「悪かった、ゴメン・・・」と

ひたすら謝るのでした。


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