9.02.2009

寿町ブルース 4

格差、格差って
テレビや活字で脅迫的に連呼されていますが、
そもそも有史以来格差はあったのです。

最近の格差問題は、
高度成長期以降に一億総中流になったのが、
先の構造改革で崩れた、
というのが話の流れです。

本当ですか?

その一億総中流という平均値を出すのに、
寿町をはじめとした人たちは
分母に組み入れられていたのでしょうか?
最初から数字に入っていなければ、
それは全体の平均値ではなく、
平均の平均値となり、
その限られた平均が少し崩れたからと言って、
そんなに脅迫めいた報道をする必要はないと思います。

そもそも、富の格差は相対的なものでもあります。
世界から見れば、
世界第二位の経済大国の人民の給料が
少し減ったからと言って、
その他多くの国の人達は大したことないと気にも留めないし、
むしろ贅沢な暮しをしているように映っているでしょう。
また、日本のホームレスは糖尿病になるとも言います。
(良し悪しは別として)

今、大切なことは、
「生きていくことはどういうことなのか?」
という最も初歩的な問いを今一度考えなおして、
この強迫的な格差問題から一歩身を引くことだと思います。


さて、寿町です。
僕らは足しげく寿町にかよい、
寿町の住人達の労働や福祉を
支援している50歳くらいの男性と知り合い、
今まさに寿町が直面している問題を聞くようになりました。

たくさんの書類や本が無造作に積まれた、
いかにも男所帯の事務所。
その男性が座る椅子の背後の壁には
どデカイ、チェ・ゲバラのポスター。

記憶はあいまいですが、
チェに加えてたくさんの
標語ポスターのようなものが張られていました。

「闘争」「平和」「反戦」「非核」
などの言葉が、
まるで仁義なき戦いの宣伝かのような字体で、
荒々しく書かれていました。

その男性の一生が詰まっているのでしょう。
学生運動から戦いの場を寿町に移してきたような、
曲がることなく、筋を通してきた人にみえました。

しかし、そんな背景は僕らにとって気にならなかった。
むしろ今まで見てこなかった世界が、
今ここにあるという事実に驚き、
興味が沸騰のようにわき、
ただ知りたいという欲求に侵されていたのです。

熱心な若者だ。
その男性には僕らがそう映ったのでしょうか、
ある時、M氏のもとに一枚の手紙が届いたのです。

「共産党に入って、
 僕らと一緒に戦おう!」

一瞬、僕らは目を丸くしました。
え?
どういうこと?
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