3.17.2010

代替医療のトリック

代替医療のトリック
   サイモン・シン エツァート・エルンスト 著




久しぶりに、
やらなければならないことを脇に置いてまで
のめり込んでしまった。

460ページ。重量級の良書です。

本書は題名から推測できるように、
現代の代替医療
(鍼、ホメオパシー、ハーブ、カイロプラティックを中心に)
を科学的な検査で徹底的に検証しています。

整体を生業としているので、
現代の科学的な視点で代替医療はどう捉えられるのか、
決して無視はできません。

ここでまず科学的な検査というものが
果たして十分な回答が得られるのかどうか?
という疑問がわきます。

Evidence Based Medicine 
エビデンス、EBMと言われます。
臨床での有効性を検証して、
その情報をもとに応用していくことです。

以前僕はこのエビデンスに疑問を持っていました。

なぜなら、例えば鍼で言う経絡、
気の流れや、気そのものを科学的に測ることは現状無理だし、
それを見えないから無いとしてしまうなら
それこそ科学の暴論だと思っていたのです。

しかし、しかし・・・
話は簡単でした。

要するに、
この症状は鍼やホメオパシーなどによって効くのか?
を調査すればいいのです。
理論は二の次。
効くか効かないか。

これを二重盲検法を始めとした、
膨大な信用のおける資料、
分析を分析するメタアナリシス等によって
徹底的に見ていきます。

結果は・・・
読んで下さいw

深くは言いませんが、
代替医療心棒者はへこむと思います。

しかし、この結果に
ただ観念的に反論をするのもおかしい。
徹底的に議論を尽くしてほしいと思います。
効くから効く、みたいなのは止めにしましょう。
本書にあるように、効用がしっかりと証明された代替医療は
西洋医療に組み込まれるという事実もあります。

少し違った観点からこの問題を見てみます。

まず東洋医療を始めとした代替医療が
西洋医療と統合していくという
昨今の大きな方向性があります。
首相も統合医療を推進しています

この流れから行くと、
西洋的視点で、病気が治るか、治らないか?
が全てになってしまいます。

本来東洋医療は未病が基本ですから、
事後的な治療というよりも、
病気になりずらい身体をつくるのが本来の目的です。
ですから基本的に病気を治すということにおいて、
西洋と比較してしまうと弱点があることは確かでしょう。

治療の進め方も個人によって違ってしまうので、
測りようがないというのもありますが、
それは考え直してもいいかもしれません。

なぜならこうした
徹底的な検査をしてこなかった歴史があるからです。
治すという方向性の西洋医療と対等でいくのなら、
全ての代替医療はあらゆる検査法を開発して、
それを白日のもとにさらすのは仕方ないと思います。

だから治すとか、統合とかそういう文脈ではなく、
未病について徹底的に、
独自的にやってほしいと思うんですね。

そもそも病気にならないということを
科学的に説明するのは不可能なんですから。

これからは未病メインで、病気になったらこれまでの医療。
その根底に死生観がしっかりある時代になってほしい。

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