3.31.2010

目を向ければありうること 3

タイガの効果は抜群でした。

週一回の電話セッションが始まり、
「タイガの様子はどう?」
と聞くと、
「だいぶいい感じです」
と返って来ました。

しかし突発的な感情に飲み込まれることが多々ありました。

突然泣きながら、
「お父さんが今月自転車の鍵を買ってくれると言ったのに、
ダメだと言われた」

「夕食後の皿洗いのことで
効率が悪いからやり方を変えろと言われた。
僕は順番があるから変えると皿洗いができなくなる・・・」

「暑いから窓を開けてくれと言われた。
僕は窓を開けると眠れない・・・」

等々。
なかなか無理難題が舞い込んで来ます。

H君はこれと決めたことに執着することが多い。
しかも、その変更を余儀なくされると(特に強引に)
パニックになってしまう・・・

ゆっくり泣きやむのを待って話を聞きます。

人がこれと決めたことに対して、
頭から否定することはいいことだと思いません。
儀式的にやっていることもあるだろうし、
誰にでもあるものですから。

ただ、人と生活するにあたって、
その行為が誰かの迷惑になるのだったら、
どこかで折り合いをつけるのが社会での生き方。

ところがH君は歩み寄りができない。
なかなか頑なです。

こんな時はその行為に対する
周りの気持ちはどうだろうか?ゆっくり想像してもらいます。

H君は相手がどう思うか、
どういう気持ちになるかは、きちんと分かっている。

「うん、うん、その皿洗いを早く終わらせないと、
お兄ちゃんが眠ることができないんだね。
それでお兄ちゃんもそういう風に言ったのかもしれないね」

H君と二人で状況を紐といていくと、
そうだったのかと分かることもあるようです。

「じゃあ、どうしようか?」

H君にその行為を
どう皆の気持ちを踏まえながら変えていくか、
いくつか考えてもらいます。

すでに答えがあったかのように、
いいアイディアがでてきます。
それを行動してみて自分がどう感じたか、
周りがどういう反応をしたのか、
次のセッションに報告することで終了します。

大概何事もなかったかのように、
次のセッションではケロッとしていますw
一体あの騒ぎは何だったのかと思わせるほどに・・・

そんなやり取りがしばらく続いていました。

それから1年が過ぎ、
タイガとの関係がうまくいっているなと、
安堵していた矢先、
再び事件が起きます。

万引きが見つかった・・・

学校に知られ、大きな問題に発展していったのです。

                    つづく

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