3.11.2010

個の再発見から考える 5

女々しい・・・

この言葉に目を向けると、
現代社会の根底にひそむ、とある原理が見出せます。

それは男性性社会という原理。
その証拠に女性に対する「男々しい」
という言葉が存在しない。

雄々しい、という言葉はあります。
しかしそれは、あくまでも男性への賞賛として、
勇猛な、力強い、という意味で使われるようです。

そう、これらの言葉からも分かるように、
有史以来ほぼ一貫しているのは、
男性性が社会をリードしてきたということです。

男性性・・・

その象徴するものを挙げてみましょう。

戦い・支配・リーダーシップ
力・たくましさ・尊厳・ルール
理論・分析・哲学・科学・・・

僕なりに思いついたものですが、
これはあくまでも、男・女を指すのではなく、
人間の中にある男性性を言っています。

ユングの言う集合的無意識の元型を見てみましょう。
ユングは無意識層に、
男には女性的性質(アニマ)
女には男性的性質(アニムス)が備わっていて、
夢や無意識下でその作用が働き、
人格に影響していると言います。

当然のこととして
生理学的にも男性特有のホルモンを女性は持っていますし、
その逆もしかりです。
身体的な性別として男・女は振り分けられますが、
それぞれ女性性・男性性が
生理的、心理的に組み込まれているということです。

「男は男らしく、女々しくあってはイカン!」

男性性社会を生き抜くためには
強くいることが求められてきました。
女性性を封じ込めて・・・

僕はこの原理の方向を変えることによって、
これまで書いてきた、個の孤立を防ぎ、
新しく全体に繋ぐ「結び」が出てくるのではないかと思うのです。

それはまさに
「女性性の発見」
です。

では女性性とは何でしょうか?

象徴するものとして、
平和、受容、共感、
慈愛、優しさ、抱擁
大地、美しさ、直感・・・

母なる豊穣の地は全てを受け入れ、
浄化し、新たなる生命を生む・・・

受け入れの方向性ですね。
女性性とは、分裂してしまったものを飲み込み、
全体へと昇華させる原理があります。

この男性性社会の行き過ぎた面を認め、
内側にある女性性を目覚めさせることが、
個の孤立を防ぐ社会を創出するのではないかと思います。

宇野さんはテロ組織を引き合いに、
「共感」が有効策になるのではないかと言っています。

~テロ組織は自らに対する攻撃から学習し、状況に適応して
進化し続けている。これを力ずくで攻めることは、結果的に
相手を強化してしまう。これに対し、自分が思うように相手を
動かすのではなく、むしろ自分の意にそまない集団や個人に
「共感」してみる方が有効策なのではないか。
 全てが絶えず変化する世界の中では、単純なモデルに
従って一方的に世界を変えようとするより、むしろ不確実性に
満ちた世界の現状を受け入れ、自分を変える方がより柔軟
な対応を可能にする~

受け入れる・・・

ここで、集団的に捉えずに、個的に見ていきたいと思います。
なぜなら社会を劇的に集団で変える(革命等)というやり方は、
これまで見てきた通り、
個が分化されてきた以上、なかなか難しいものがあります。

すなわち、個が変わらないと
社会も変わらないという厳しい現実なのです。

もちろん宇野さんの言う、
個的自己実現しか興味のない人たちしか
世の中いないのでしたら身も蓋もない話ですが、
僕は心の奥底では対話や繋がりを
渇望している人たちも少なくないと感じています。

女性性の発見・・・
それは幸福の歩みであり、希望の光です。
未来への架け橋はここにかかっています!!!

さて、受け入れる・・・
個的に見ていきましょうか。

人は自分の意に沿わないものを視界から外すことによって、
安心を得ようとします。
しかし、現実はあり、進行しています。
過去の失敗、
嫌な人、嫌いなモノ、出来事・・・

分断したままでは、孤立の渦から出ることはできないでしょう。
しかし全てのことを受け入れるのはなかなか難しい。
キャッチャーがごとく、
まともに全てのものを受け取ると胃に穴があいてしまう・・・

最初は「認める」ことを始めましょう。
嫌な人、過去等、分断を認めて、
その距離を作っていくのです。
そうすれば少なくとも「ある」ことが前提となり、
嫌な思い出が遠くのタンスの引き出しにしまってあったり、
その場に嫌な人がいても心理的距離感があれば、
その人の存在を消そうと躍起にならなくて済みます。
まずは認めて距離感をつくる。

そこに余裕が生まれる。

慈愛、抱擁、優しさ・・・

このような行為は心のスペースに空きがないと、
なかなかできるものではありません。

まずは認める。

その一歩は勇気のいる一歩かもしれない。
これまで築いてきたプライドをぶち壊すかもしれない。
身につけてきた処世術が空虚になってしまうかもしれない。

しかし、この方向性は明日への希望がある。

あなたの中の女性性・・・
そろそろ目を覚ましましょう。


つづく
人気ブログランキングへ

0 件のコメント: