11.11.2009

リベンジ 2

「まあ、これは男の子の遊びだからな~」

カァーっと見開いた眼は、
遠くバハの乾いた砂漠を見ていたのだろう。
口元には不敵な微笑みがこぼれている。

一昨日の夜、玄に会いに行った。
旅立ちの前日、
身体全体をおおう気の流れは、
まるでショートしそうなほどバチバチと音を立てていた。

「男の子の遊び・・・」
次に視点は上空に移り、
何かを得たかのように二、三度頷いた。

いつまでも男の子のママだとダメなんだ
 大人の男の子の遊びにしないとな・・・
 そうだ、大人の男の子だ」

「・・・・・・」

僕とカミさんは無言のまま頷きつつ
頭の中では
(じゅうぶんにいい歳なのでは?)
と言葉がよぎった。

でも、気持ちが分からない訳でもない。

そもそも、男が大人だと思う年齢の基準なんて曖昧だ。
10代だった頃、30代は大人に見えたし、
その頃には知識や経験から
人間としての徳を備えていると思った。

そして30代になり、
それは30代から見る大人像が
どんなものかに置き換わっただけになった。

大人の先延ばしとも言えるし、
立派な大人像がより高度なものになったとも言えるw

FOREVER YOUNG
ボブ・ディランの名曲。
まさに玄はこの曲を体現している。

「今回のコースはより危険が伴う・・・
 どこかに消えたら、骨を拾いに来てくれ」

相変わらず冗談とも本気とも取れないことを言ってくる。

「ああ、もちろんさ。
 たとえ玄が骨になっても俺はお前だって一発で分かるから。
 俺はお前を腰で見分ける!」

そう、腰痛持ちの玄、
その腰は以前「入っていない」と書きました。

僕は何度も玄の腰を触らせてもらい、
骨格がどのようになっているか良く分かっています。
どんな検視官よりも早く見分けることでしょう。

「そんな時はバキバキって腰入れてやるから!
 それで成仏できるだろ」

「うぉ~!いいね~」

いつもの調子です。
バハの風を切り裂いてきてほしい。

「日本一周から俺はまだ続いている・・・」
玄は言う。

1999年の夏。
玄、リュウジ、僕の三人はモトクロスバイクで
日本一周の旅を共にした。

それは僕らにとって熱く、
強烈な出来事の連続だった。

しかしその年、僕は事故により
バイクにまたがることをを断念した。
リュウジも同じような理由でバイクから距離を置いた。

それからというもの、各々の人生観、
旅の形、興味の対象が大きく変化し、
会うことも少なくなった。

あれから10年・・・
玄はいまだ路を求め、
走りのフィールド、
遊びのフィールドを、
“日本”から“地球”にシフトして、
大人の男の子の遊びを究めようとしているのでした。

思いきり地球をかっ飛ばしてくれ!

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